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東京地方裁判所 昭和53年(ワ)7026号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

原告は、まず自己の使用者をして本件不動産を競落取得させ同人名義の所有権登記を経由し、不動産取得税も同人名義で納付したが、その際、右不動産を真正名義回復の登記により自己名義としたところ、さらに自己名義で不動産取得税を賦課されこれも納付した。そこで右税の二重賦課を理由に後に納付した税の返還を訴求する。

【判旨】

ところで、原告は、本件土地・建物を東京地方裁判所昭和四八年(ケ)第七〇五号不動産競売事件について昭和五〇年三月一四日に開かれた競売手続期日に競落したのは、訴外会社であり、訴外会社は右競落による本件土地・建物の取得につき不動産取得税を納入しているから、東京都北都税事務所長が昭和五二年二月七日本件建物の、同年四月七日本件土地の各取得についてなした各不動産取得税賦課処分は二重課税である旨主張する。そして、訴外会社が本件土地・建物について経由した東京法務局北出張所昭和五一年一二月一六日受付第三八九四九号所有権移転登記の原因が真正な登記名義の回復となつていることは当事者間に争いがなく、<証拠>によれば、訴外会社は、昭和五〇年春ごろ、営業所が狭隘になつたので、手ごろな不動産を探していたこと、訴外武井は、訴外会社の親会社でデラップス系企業グループを統括する訴外デラップス工業株式会社の総務課長であつたこと、訴外武井は、同社代表者の指示により訴外会社代表者山口惇の意向を受けてその営業所用に本件土地・建物を取得すべく、右不動産競売事件について同年三月一四日開かれた競売期日に同裁判所不動産競売場に臨んだこと、訴外武井が同日競買申出の保証金として同裁判所執行官小田代健に預け後に代金に算入された金六四三万七、〇〇〇円及び同裁判所裁判官砂川淳の命令により同年一〇月六日支払つた代金五、一九三万三、〇〇〇円は訴外会社が出捐したものであること、前記都税事務所長が訴外武井を名宛人として同年一二月六日本件土地の取得について賦課した不動産取得税金一八万三、一二〇円及び昭和五一年三月六日別紙物件目録三記載の建物を除く本件建物の取得について賦課した不動産取得税金一〇万四、一三〇円を出捐したのは訴外会社であることを認めることができる。しかしながら、不動産取得税はいわゆる流通税に属し、不動産の移転の事実自体に着目して課されるものであつて、不動産の取得者がその不動産を使用・収益・処分することによつて得られるであろう利益に着目して課されるものではないことに照らすと、法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」とな、不動産の取得者が実質的に完全な内容の所有権を取得するか否かに関係なく、所有権移転の形式による不動産の取得のすべての場合を含むものと解すべきところ(最高裁判所昭和四八年一月一六日判決。民集二七巻一〇号一三三三頁参照。)、訴外武井が昭和五〇年三月一八日東京地方裁判所の競落許可決定を得、東京法務局北出張所同年一〇月一三日受付第二九一〇号所有権移転登記を経由したことは当事者間に争いがなく、<証処>によれば、訴外武井は、前記競売期日に自己名義で本件土地・建物に対し最高価金六、四三七万円の競買申出をしたこと、訴外武井は、右競売期日に訴外会社の資格証明等を忘れたので、自己の判断で急遽自己名義により右競買申出をしたことを認めることができ、右事実によれば、右訴外武井の本件土地・建物の競落も法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」というを妨げないから、原告の右主張はその余の点を判断するまでもなく失当である。

(並木茂 島田周平 高林龍)

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